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間違いだらけのグロースハックが「サービスの死」を招く

グロースハッカー

最近、IT業界では「グロースハック」なる言葉が流行っています。

この「グロースハック」とは何かというと、サービスとかアプリとかをいかに流行らせるかという考え方だったり、テクニックだったりのことを言うらしく、それを仕事にしている人のことを「グロースハッカーというそうです。(参考ページ
そういう意味では、サービスプロデューサーとしての私の仕事もある意味「グロースハッカー」なのでしょう。

しかし、私はこの流行の「グロースハック」という言葉が好きではありません。
ブームに持て囃されて言葉だけが一人歩きし始めていることに大変な危機感を持っています。

グロースハックを実践すればゴミでも売れるって訳じゃねえからな

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photo by Ninithedreamer

「グロースハック」という言葉が一人歩きしているこの現状が何かに似ているなあと思ったら、かつて「アジャイル」だとか「リーンスタートアップ」とかのワードが流行りだしたときと同じ気持ち悪さなんですね。

みんな、その本質がよく分かってないのに言葉のカッコよさに踊らされ、どこかの記事で見た受け売りの知識や小手先のテクニックを猿真似している状況。で、その「グロースハック」さえ実践すればどんなサービスも流行らせることができると思っている状況。

一つ言っておきますが、グロースハックは万能じゃねえぞ、と。

そもそも良いサービスがあることが前提で、それを成長させるための「手法」がグロースハックであって、これさえやればゴミでも売れるって言うものではないということです。

「グロースハック」の猿真似はサービスを停滞させる

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photo by shanntastic

グロースハックは会員獲得に関する小手先のテクニック論と混同されがちです。
登録画面のレイアウトをこうしろとか、こういう通知画面を出せとか、メルマガはこう送れとか。グロースハック系の色々な記事を読むと、多くはそういう手法や成功事例とかの話に終始しがちです。
それはおそらく、そういう画面改善に関する事例の方が取り上げやすく、何より「成果が見やすいから」だと思うんですよ。こうしたら何%になりましたとか数字も取りやすいし分かりやすいと。

そういう「手法」や「テクニック」ばかりが取り上げられて、「サービス成長」の本質のように持て囃された挙げ句、過度な傾倒を生むことで、数字が見やすいちょろい仕事ばかりやる組織風土が生まれ、そして、それが評価されるという風潮になってきています。事実、うちの会社も最近そんな感じになってきてしまっていまして、ここ半年、ほとんど新しいサービスや価値を生み出しておらず、画面をこうしたら数字が良くなりましたとか悪くなりましたという話ばかりが話題に上る状況です。

でも本来、そういう細かな調整や施策って「当然やるべきこと」であり、その「当然やるべきこと」を考える時に、漫然とあれがいいか、これがいいかじゃなくて、仮説を持って取り組みましょうねって言うのがグロースハックなんじゃないかなと思うんですよ。

つまり、グロースハックはあくまで「考え方」であり「仕事そのもの」ではないと。そこを間違えると小手先でどうにかなって、数字が見やすいちょろい仕事しかしない「つまらない集団」が出来上がります。

グロースハックの本質を見誤った組織はいずれ、死ぬ運命

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そうなると当然、本来やるべき、サービスの改善や開発がおざなりになりますよね。
そもそも、サービスに十分な競争力があるからグロースハックが効果を発揮するわけです。小手先のテクニックに溺れ、サービスの競争力を高める努力を怠れば、いくら良くできた登録画面で情弱ユーザーを釣り上げられたとしても、サービスの質で敗北してしまえば客も離れますし、売り上げも下がるでしょう。そうなれば待っているのは撤退の憂き目あるのみです。

重要なのは、グロースハックは「良いサービスをより広く深く知らしめてユーザーを最大化し、利益を作る」ことであって、「どうしようもないサービスの会員登録画面を工夫してうっかり者の会員をつかまえること」ではないということです。

あくまで最重要なのは「素晴らしいサービスを提供すること」。そして、それの良さをより広く深く知ってもらい、ファンを作り、最終的にお金を落としてくれる人数を最大化するのがグロースハック。グロースハックを信奉するあまりそういう主従を見失い、手法が目的となってしまえば、いずれ衰退が待っています。

グロースハックへの過度な傾倒が招く最悪のシナリオ
  1. グロースハックを信奉し、その本質を見誤ったまま礼賛する。
  2. 成果が見やすいちょろい仕事ばかりやるようになる
  3. サービスの進化が止まる
  4. 競合他社から遅れをとる
  5. 客離れの原因を小手先の改善に求めるようになる
  6. サービスがゴミ化していることに気がつかない
  7. サービス衰退

結果、死ぬ

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購入画面やユーザー導線の改善に関するテクニックだけが「グロースハック」と礼賛されている今の状況は本当にヤバいです。

小手先のテクニックと、すぐに数字が返ってくる快感に溺れるあまり、「お客様にとって素晴らしいサービスである」という前提を忘れると、いずれサービスの死を招くことになるんじゃないかと思います。ゴミはあくまでゴミですから。

是非グロースハックを紹介している人たちは、テクニックの紹介ばっかりじゃなく、その本質をしっかり伝える努力をして欲しいと思います。

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