野球界の「大谷にぶつけてはいけない」という無言の圧力はどうにかならんのか?
北海道日本ハムの大谷翔平選手が投手として素晴らしすぎる活躍をしています。
高卒入団三年目にして、この球界のエース級の働きは松坂大輔やダルビッシュ、田中将大、涌井秀章などを思い出させ、すでに貫禄すら漂っています。
一方、打者としての成績は今年は振るっていませんね。
クリーンナップに座ることも多いものの、打率.200と起用に応えているとは言いがたい状況です。
ただ、数字自体は悪いものの、本塁打は3本打っており、コンディショニングの難しさもあるため、普通の選手ならもう少し我慢できる数字かと思います。
しかし、大谷選手の場合は、この数字は「悪い」といわざるを得ません。
それは、「大谷選手が球界全体に守られている存在だから」です。
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強打者の宿命「内角攻め」
通常、強打者は内角を厳しく攻められるものです。
例えば、通算ホームラン525本の清原和博は、通算死球数でも196とダントツのトップを記録しており、死球だけでプラス1.5年分の安打数とイコールになってしまうほどの数字を残しています。
また、球界至宝であり世界の安打製造機イチローは、210安打を放った翌年、18死球という驚異的な当てられ方で、もはや「死球攻め」と言われるほど厳しい内角攻めを受けています(清原でも最高は16死球)。これには当時コミッショナーも全球団に声明を発表したほどだとか。
当然、本人の回避スキルの高さにも関連しますが、基本的にクリーンナップに座る強打者は内角を厳しく攻められるものなのです。
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大谷はまだプロの内角攻めを受けていない
その点、大谷選手はどうかといえば、昨年度は10本のホームランを打ち、クリーンナップの一角を担ったにもかかわらず、一年間で死球は0でした。
単純比較は出来ませんが、大谷選手より打数の少ない杉谷選手が、昨年は4死球を受けています。
さらに言うと、プロ入り以来、500打席近く立っていながら、死球は2013年に田中将大が与えた1つのみ。それも、指に引っかかったストレートだと思って普通に避けたら、実はカットボールで思ったよりも曲がったという類のもので、内角攻めの結果ではありません。
つまり、大谷選手は「プロの内角攻め」を受けていないんです。
もちろん、大谷選手は内角も払い打てますし、手足が長くベースから離れて構えられると言う点もあるので、不用意な内角攻めは出来ないという側面もあります。しかし、それにしても厳しいコースへのボールが少ないのは間違いないのです。
これには、先日、同級生の藤浪投手が黒田投手にぶつけたことで話題にもなった「投手には内角攻めをしない」という不文律の影響や、人気者であり、球界の至宝である大谷選手に当ててはいけないという「無言の圧力」があることを疑わずにいられません。
いわば、打者大谷は「気を使われている」のです。
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つ 大人の気づかい&マナーサクッとノート
二刀流であり続ける以上、気を使われ続ける
そんな、「気を使われている選手」だからこそ、打率.200という数字は全くの不足だと思えます。
徹底的に研究され、弱点を突かれ、潰しに来られた上での.200ではなく、あくまで投手メインの選手として扱われ、怪我をしないように気を使われた上での.200なのです。
大谷君はその資質の高さから、高卒から活躍した松井秀喜氏や清原和博氏と成績を比べられますが、投手との二刀流を続けている限り、打者専業で強打者ならではの厳しい攻めを受けてきた二人とは、比べることは出来ません。
確かに素質はありますが、二刀流では打者として本当のトッププレイヤーになることは出来ないでしょう。また、数字的にそれなりの成績を出せたとしても、「気を使われた上での成績」として、永遠に本当の一流たちと比肩することは出来ないと思われます。
本気の勝負の世界で認められる選手になるために、大谷君が打者を捨てる日は近いのではないかと。
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