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定額制音楽配信サービスは目指す方向を間違っている

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photo by ChrisGoldNY

事業者だけが盛り上がり中の定額音楽配信事業

サイバーエージェントとエイベックスが5月27日にスタートした「AWA」。
日本での開始は未確定ながらも6月30日に世界150カ国で開始する「Apple Music」。
そして、先日発表された、LINEとソニーミュージックの「LINE MUSIC」と、国内外で定額制音楽配信サービスがにわかに盛り上がりつつあるようです。

まあ、盛り上がりつつあるといっても、今のところは単に事業者側が盛り上がっているに過ぎず、ユーザー側は全く盛り上がっていません。
一見すると、崖っぷちの音楽業界が流行のIT企業に助け舟を求めているようにも見えますね。


こういう月定額のコンテンツ配信の形態を、サブスクリプション型というそうですが、言葉などはこの際どうでも良く、最大のポイントは定額制音楽配信を世の中のどの機能と置換させるのかがポイントだと思っています。

 

考えれば、技術革新は音楽業界の様々な価値を置き換えました。
iTunesはCDレコードショップの価値を置換し、着うたなどの音楽のデータ化はCDやMD等の媒体の価値を置換しました。

 

じゃあ、定額制音楽配信サービスは何を置換するのか?ということです。

 

その点、各社とも目指している方向は、CDレコードショップの置換、CDやMD等の媒体の置換という、すでに置き換えられた価値との置換に目が向いているように思います。

 

しかし、敢えて断言すると、その方向性は間違っている。

 

今の音楽業界に必要なのはタッチポイントの再生

私は、サブスクリプション音楽配信サービスが提供するべき価値は、

「音楽とのタッチポイントの再生」

だと思うんですね。要するに、テレビやラジオ、喫茶店のBGM、レコードショップのポップなどの音楽との出会いの機会を置換するということです。

 

iTunesをはじめとする、音楽のデータ化は、新しいコンテンツ流通を創出したのと同時に、音楽の「バラ売り化」を引き起こしました。
CMタイアップなどでサビだけ流れた曲を、その一曲だけ購入するという視聴です。それ以外の楽曲は全く売れません。


この選んで聴くという視聴習慣のなかで、偶発的な出会いの可能性は極端に減りました。
それにより、特定のメディアに載れない楽曲や、有名アーティストでもカップリング曲などはほとんど知られること無く、再生されること無く消えていく運命になるのです。

すると、今まで以上に一発屋的なミュージシャンは増えますし、ミュージシャン自身も短命化します。
昨今ではライブ回帰なんて言われていますが、実際にライブに足を運ぶと、ヒットした曲のサビの部分だけが盛り上がり、他の楽曲は客がただ手拍子のみなんていうパターンも珍しくはありません。
だから、最近では対バン形式のライブや数組のコラボライブなどが流行っています。あれは、ド派手なコラボをぶちかましたのではなく、単品ウリをするだけの実力が無いバンドが数曲の小ヒット曲だけでライブを実行するための苦肉の策です。

曲も売れない。売れても1DL数十円。ライブをする実力も無いとなれば、音楽業界は縮小せざるを得ないというものです。

 

音楽業界の再生のためには、未知の音と出会う機会、音楽とのタッチポイントの再生が絶対に必要です。

 

定額制音楽配信サービスは80年代のラジオを目指せ

そういう意味で、定額制音楽配信サービスは、80年代のラジオやディスコ、HMVのポップを目指すべきだと思うんです。

 

かつて、ラジオは新しいヒットの種や見所のある新人を、DJやスタッフが自らの目と耳で見つけ出し、視聴者に発信する流行の起点になっていました。漫然と楽曲を流し続けるのではなく、良いものを見極める目で選び、編集し、電波に乗せて新しい波を作り出す。そういう機能を担っていました。

また、ディスコではDJたちが様々なレコードを自ら聞き、選び、フロアで流しました。そこでは、その楽曲の発見や選曲の妙こそが個性となり、カリスマDJなども登場し、様々な流行がディスコから生まれました。

 

ラジオやディスコが流行の発信基地でありえたのは、そこに人の個性が介在していたからです。

 

人が発見し、人が選び、人が伝える。
良いと思ったものを、良いと思った理由とともに発信するから、さらに人づてに伝わって、ヒットが生まれたんです。


データ配信やストリーミングのように、聴いたことのある曲だけ選んで聴くという視聴習慣においては奇跡の出会いや新たなヒットは発生しません。iTunesが、自分の視聴歴の分析結果から機械的に選曲してくるオススメの楽曲に、今までに無い新しい感性や個性の介在する余地は無いのです。


音楽とどこで出会うのかということ。
そして、ただ機械的に出会いを演出されるのではなく、誰がどうしてオススメするのかという人の耳に基づいたレコメンドが求められているということです。


そういう意味で、ただ「安く気軽に聞ける」というだけの定額制音楽配信サービスには存在価値は無いと思うのです。
「若者には音楽が高くて買えないんじゃないか」「定額なら気にせず色んな曲を聴くんじゃないか」という安直なマーケティングなら、正直ガッカリだと。


そんなこんな。

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