大塚家具、優勢だった父の敗因は「ペラッペラな中身」
大塚家具の件が先週の金曜日から大層盛り上がってまして、週明けの今週には一斉に朝のワイドショーが取り上げていましたね。
この件は、「どうでもいいけど、面白い」っていうバラエティ番組の必要要素が満たされた、近年まれに見る優良コンテンツなので、安心してみていられるところがとても楽しいですね。正直、大塚家具がどうなろうが直ちに生活に影響はありませんし、家具を買う際にも無ければ無いでほかの店で買うだけの話ですし、仮に無くなっても全く問題ありませんから。
結果的には、優勢と報じられていた父が敗北し、現経営者である娘の勝利という形で決着しました。
ワイドショーでもその内容がかなりの筒抜け状態で報じられており、もはや面白おかしくという表現がぴったりでした。
池井戸潤さんが早速次回作のネタにすることは間違いないでしょう。
ドラマ化の際のセットには是非大塚家具を利用してもらいたいものです。
父か娘か「どっちがマシなのか」を決める泥仕合
さて、優勢だった父が何故負けたのか。
様々なメディアで分析が行われておりますが、ホントのところこれしかないと思うんですね。
「どちらがより薄っぺらかったか」
以上です。
メディアでは、父は高級路線で娘はカジュアル路線みたいな、単純な対比軸で語られていましたが、正直、株主にとってそこの戦略はほとんど重要ではなかったように思います。株主の関心事は唯一つ、「どっちが経営した方が儲かりそうか」でしかありません。
高級路線かカジュアル路線かなんて本質的にはどうでもよくて、具体的に「どうやっていくら儲けるのか」をリアルに語れるのはどっちかということが議論されるべき事項なのです。
その点については、両者ともに不足感は否めません。
高級路線かカジュアル路線かという二元論で語られてしまい、どちらに多くの市場があって、どうリーチしていくのかという具体的な点がほとんど議題になりませんでした。つまり、両者ともに具体性が全くない中で選ばなければいけない、
「どっちもババだけど、片方がカラー印刷」
みたいな究極のババ抜き状態に株主は置かれてしまいました。
そうなると、もはやどちらがマシかという判断しか下せないですよね。
父が自ら示した昭和の遺物感
その点、父陣営は戦略を間違えました。
父は、株主総会の場で「情に訴える作戦」を取ったのです。
これは完全に逆効果でした。
娘を一方的にこき下ろすだけで、どこがダメなのか、何故ダメなのか、どうして自分がふさわしいのかが全く見えてきません。「娘は難産で大変だった」とか、「自分は30年経営してきた」とか、「社員がかわいそう」とか、そんなの株主的にはどうでもいいんですね。
大事なのは、「あなたを選ぶとどうやっていくら儲けられるのか」なのです。
過去の栄光とかどうでもいい。この先任せて大丈夫なの?っていうところがポイントだったのです。
過去の栄光にすがり、他人をこき下ろすというプレゼンテーションは株主の芯を完全に外しました。さらに、母が出てきて事態は悪化。完全にババアは黙ってろ状態に突入したのです。株主の多くは思ったことでしょう。「ああ、なんだ結局高度経済成長の波に乗って、強運と気合で乗り切ってきた人なんだな」と。
そして、
「正直どっちもパッとしないけど、この父じゃダメなことだけは分かる」
という共通認識が株主に生まれ、めでたく浮動票の80%以上が娘側につくという結果になったのです。株主のニーズも捉えられない経営者に顧客のニーズが分かると思えないので。
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冒頭でも申し上げたとおり、大塚家具がどうなろうが正直知ったこっちゃないので、ただただ楽しませていただいたわけですが、「上場企業の事業継承を個人事業の延長レベルでしか捉えられない人が上に立つと、どんな悲惨な末路が待っているか」というモデルケースを示したという点で、非常に良いサンプルになったのではないかと思います。
広瀬すずの「全部出たと?」は「まだ出ると?」じゃなかっただけマシ
広瀬すずちゃんのカップ焼きそばのCMが下ネタみたいだという批判が、
「一部の声の大きいバカ」から上がりせりふ差し替えだそうです。
でも、ぶっちゃけ「まだ出ると?」じゃ無かっただけマシなのではないかと。
<「出る」系セリフ案>
結論:「出る」という言葉を使った時点で詰んでた。
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スイス時計メーカーのスマートウォッチが完全にクソ
週間アスキーPLUSで、バーゼルワールドで発表されたスイス製時計メーカーのスマートウォッチが絶賛されてましたが、おい、ちょっと待てと。
そのブランド感とか時計屋的デザインとか抜きにして、冷静に考えて欲しい。
いやいや、クソだろ。
どれもこれも歩数計やら活動量計やら睡眠時間計測やらそんなんばっかですわ
一日の活動量が分かったら何だというの?
そんなの知りたい?
万歩計付けろって。
一番大事なのはスマートウォッチは何を果たすべきなのか
スマートウォッチの覇権争いで一番重要なのは、腕の上で何をさせるかです。次にくるのがそれに最適なインターフェイスですよ。
まず、何をさせるかという観点では、「カラダに密着してるし、脈も取れるからバイタルセンサーよね」って言うのは、完全に発想が貧困です。
そういういるのかいらないのか分からないけど「すぐにできるであろうこと」よりも、もっと重要なのは何を出来るようにしたいか。今までのどの価値観を壊したいのかっていう、いわゆる「WILL」が何なのかです。
その意味で、絶賛されている「スイス製時計メーカーのスマートウォッチ」はクソです。
貧困な発想力で、今できることを考えて実装しただけ。腕の上で何をさせるのか、何を実現させるべきなのかっていう発想が欠如している。
デザインは良いかもしれないですが、それは時計としてのデザインがいいのであって、スマートウォッチのデザインとして良い訳じゃない。
良いデザインの時計が欲しけりゃ普通に機械式を買えよ。
その方が絶対満足度高いよ。
スマートウォッチは時計から最も離れるべき
で、デザインはそのWILLを実現する手法に最短距離であるべきです。
パテックフィリップのカラトラバが何故色あせないか。
時間を知るというWILLに対して、これ以上にありえないほどの最適解を示しているからですよ。
スマートウォッチにも最適解が必要です。
スマートウォッチは「丸くて針が3つあって竜頭がついてて・・・」という時計の先入観から極端に離れたところから発想すべきなんです。
スマートウォッチとして実現すべき目的を定めて、それに対して最短距離のデザインを一体誰が最初に示すのか。それを確立すれば、一気に業界のデファクトスタンダードが取れる可能性が高いわけです。
オメガが明日のAppleになっている可能性もある。
その点、この記事の中ではグッチの時計が一番マシですかね。
一番、挑戦的なコンセプトで商品設計をしている気がします。
バイタルデータを知りたいなら万歩計か脈拍計をつけろ。
時間を知りたいなら時計つけるかスマホ見ろ。
スマートウォッチが果たすべきもの、最大の提供価値って何なの?
そう考えたときに、私にとってはスイス時計メーカーのプロダクトは落胆至極。
流行りモノに乗っかったレベルの軽薄なデバイスでしかないという印象です。