ウェイウェイすることをコミュニケーション力だと勘違いしている人へ
仕事柄、社内外の様々な人と話をしていると、特に若手の営業さんに多いのですが、「この人は明らかにウェイウェイスキルで採用されたんだろうなあ」っていう人がいます。
もちろん、誰とでもウェイウェイできる能力というのは活きる場面も多いし、あって困ることは無いのですが、それが出来ることを「コミュニケーション力」とだ勘違いしている人がすごく多いのではないかなと思います。
それは確かにコミュニケーション力のひとつではあるのですが、全てではない。それはいわば、「ウェイウェイ力」であり、真の「コミュニケーション力」ではないのでは無いかと思うのです。
特にこれから新卒採用面接に挑む人に伝えたいこととして、自分の長所として「コミュニケーション力」を語るなら、ウェイウェイした飲み会スキルだけじゃなく、もっと深いところの「コミュニケーション力」を意識して磨いてもらえると、先輩社会人としては嬉しい限りなのです。
仲良くウェイウェイするだけじゃない「コミュニケーション力」に必要なスキル
①自分が理解できていないことを自覚する力
私の経験から言って、「ウェイウェイ力」で内定を勝ち取ってきた社会人は、「長いものに巻かれる力」が強く、返事だけは異常に良い傾向があります。この「返事だけは異常に良い」という状態は、他人と仕事をしていく上で大変危険だと思います。
それにより当然起こりうる問題としては、理解しないまま仕事を進めて見当違いのアウトプットを出してくるということがあげられます。しかし、それ以上に、上司や取引先から見て、「理解していないことが伝わらない」ということの方が問題です。
よくあるビジネスの場で発生する考慮漏れや、調整忘れなどは、多くの場合、分かったフリをした担当者が思い込みで仕事をした結果だったりします。
また、こういう分かったフリをする社会人は、上司の適切な指導や軌道修正が受けられず、成長スピードも遅かったりします。
雰囲気で分かった気にならず、まずは理解出来てないないことを自覚してください。
②理解するための質問を繰り出す力
理解できていないことを理解した上で、次に理解できるようにする作業が必要です。その手段が「質問」です。
しかし、何しろ理解できていない分野なので、何を聞けばいいか分からないという状況も発生します。そこで必要とされるスキルが「適切な質問をするスキル」です。
どこが理解できていないか、何を知りたいかを言語化し、それを導き出すための質問をするという高度なスキルです。非常に難しいことですが、就活で「コミュニケーション力」を売りにするなら出来ていて欲しい部分です。
③自分なりに概念化して腹に落とし込む力
質問をし、理解に必要な情報が引き出せたら、次はそれを深く理解する力が必要です。
それをするためには、自分が理解しやすい言葉に置き換えて落し込む言語能力が必要です。これは外に言葉を発するものではありませんが、これもコミュ力の1つです。
理解の深さは仕事の深さだと考えて、このスキルを身につけてください。
④それを誰かに説明する力
仕事である以上、インプットした情報はアウトプットしなければいけません。
つまり、説明する力が必要です。ここで言う説明というのは、TEDのスーパープレゼンテーションのような素晴らしいプレゼンが出来ることでは有りません。誰にでも分かりやすい言葉で、短く端的に説明を行うことが出来るということです。深く理解した内容を、不要な部分はそぎ落として的確に相手に伝える能力。それこそが、コミュニケーション力の真髄ではないでしょうか。
まとめ
ウェイウェイ言って楽しくなるだけがコミュ力じゃないし、逆にウェイウェイしたノリが苦手な人でもコミュ力をアピールして良いんです。
会社によって必要とされるコミュ力のカテゴリは変わります。中には仕事力より飲み力や宴会スキルが必要な職場もあるでしょう。一方で、上で挙げたような内容のスキルをコミュ力として評価する職場もあるのです。
自分に合っているのはどちらなのか、これから受ける会社はどちらの傾向なのかを冷静に見極めて、後悔しないマッチングに努めてほしいなと。で、できれば自分の部下にはウェイウェイだけじゃない子が来て欲しいなと思います。
大人のコミュニケーション術 渡る世間は罠だらけ (光文社新書)
- 作者: 辛酸なめ子
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2016/10/18
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (1件) を見る
フジテレビの通常回の「スペシャル」「特番」って何なの?詐欺なの?SEOなの?
WEBの業界ではSEO対策というものがありまして、タイトルのつけ方や文章へのキーワード配置、細かなリンクの設置方法まで、様々なテクニックが存在します。
しかし、その対策は全てがユーザーのためになっているかというとそうでもなく、機械である検索エンジンに理解しやすい構文となるため、ユーザーに不利益になる場合も多々あるわけです。
そんな、SEO対策は基本的にはWEBの中だけのものでしたが、昨今ついに家庭のテレビにまで侵食してきています。
テレビ番組表のSEOが無法地帯状態
最近のテレビには必ず番組表機能、検索機能がついています。
この検索機能向けに、番組名を都合よく操作している番組が最近異様に増えてきているのです。
いわば、番組表SEO対策です。
その手口の中でも最も悪質なのは「SP特番詐欺」です。
最近最もひどかったのはフジテレビの「とんねるずのみなさんのおかげでした」ですね。
今週の放送のラテ欄を見てゲッソリしましたよ。
放送時間はいつもどおり木曜9時から一時間。
番組内容もいつもと変わらないタレントのお宅訪問回でしたが、それにつけられた煽り文句が、
「とんねるずのみなさんのおかげでした【大爆笑1時間SP】」
いやいやいやいや!
1時間っていつもどおりだから!
「SP」っていつもの企画となんら変わらないから!!
これは余罪もありそうだぞってことで、過去分も調べてみました。
6/11放送分
「とんねるずのみなさんのおかげでした【石橋ガチでお悩み相談】」
あれ?普通かなと思いきや、番組紹介文にありました。
「大好評!!石橋温泉ブチぬき1時間SP」
バカバカ!普通!普通だから!
5/28放送分
「とんねるずのみなさんのおかげでした【面白すぎて緊急特番】」
「爆笑買うシリーズ丸ごと1時間SP!!」5/21放送分
「とんねるずのみなさんのおかげでした【必見爆笑1時間】」
「食わず嫌い男女2大俳優激突SP!!」
ちなみにどちらも放送時間1時間、内容特に特別感なしの通常回です。
もう、遡るのもつらいのですが、見つけた中で一番酷かったのはこれです。
5/7放送分
「とんねるずのみなさんのおかげでした【今夜は緊急SP】」
「食わず嫌いは阿部サダヲVSすみれ面白すぎて自由すぎて緊急1時間ブチぬきSP!!」
あのね、食わず嫌いの時はほとんど一時間ブチ抜いてるでしょ?
緊急って言うのは、取れ高的に1時間でいっか~ってことで別にプレミアムな内容じゃないでしょ?
おじさん、そろそろ「特番」の定義が分からなくなってきましたよ。
とんねるずのみなさんのおかげでした 全落・水落オープンBOX [DVD]
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2014/12/24
- メディア: DVD
- この商品を含むブログ (1件) を見る
他局でも散見する「特番詐欺」の新手法
最初は上記番組への憤りで書き出したこの文章なのですが、よくよく調べてみると、この特番商法はフジテレビだけではありませんでした。
日本テレビの人気番組「行列のできる法律相談所」もやりがちです。
「行列のできる法律相談所 涙の再会SP坂上忍の恩人大御所女優N&岡田将生の親友S」
「行列のできる法律相談所 人生最悪の日を告白SP綾野剛VSハイテンション柳沢慎吾」
「行列のできる法律相談所 大泉洋、初登場!話題の美女が告白!プロポーズされました巷で話題の謎の美女!プロポーズ初告白SP」
ちなみに、全て通常回です。
また、TBSは新手の手口を編み出しました。
やたらと「特番」ばっかりやってるイメージのTBS「ジョブチューン ~アノ職業のヒミツぶっちゃけます!」。この番組は、毎週土曜日放送ではなく、実質的に「炎の体育会TV」とローテーションでの隔週放送になっています。そして、スキップした分を繋げた2時間番組を「特番」と称して放送しています。
実際に放送時間がゴールデン丸ごと2時間なので、いわゆる我々の想像する「特番」の様式を守っているわけですが、そもそも実質的に隔週放送で2時間がデフォルトの番組なわけですから、デフォルト通りの放送を2時間だからといって「特番扱い」にしていると見ることも出来るわけで、ある種のロンダリングが行われているわけですね。
「視聴率」と「録画率」を取るためなら何をしても良いのか?
最近では、視聴者の視聴行動がリアルタイム視聴ではなく、録画視聴が多くなっているそうです。今までの視聴率だけでは、本当に見た人の数と乖離があるってことで、「録画率」も重視しだしているとか。
上で挙げた数々の特番詐欺ともいえる手法は、番組表で引きを作るというだけではなく、この録画率を意識している可能性があります。
最近の検索機能には番組名の検索だけでなく、出演者やキーワードに引っかかる番組を全て自動で録画する機能がありますので、番組検索で引っかかりやすくして、強制的に録画させる手口なのではないかと。
で、無理矢理にでも録画させれば、視聴率が低くても、「いや、この番組は録画率が高くて、好調なんですよ!」と広告主にアプローチできるわけです。
こういう妙な施策をして、視聴率・録画率を掠め取る手法はいかがなものかと。
そもそも、別段変わったことの無い番組内容なのに「特番」とか「SP」とか言っちゃうのって、「不当景品類及び不当表示防止法」の定める「有利誤認」に当たる可能性もあって、違法行為なんじゃないでしょうか?
あれ?むしろ、こっちが本丸かな?
どうなん?
その表示・キャンペーンは違反です―イラスト版 規制緩和時代の広告・販促法
- 作者: 川越憲治
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 1997/02
- メディア: 単行本
- クリック: 20回
- この商品を含むブログを見る
増えすぎたキュレーションメディアは検索結果を汚す悪魔と化した
昨年頃からスタートアップのキュレーションメディアがブームです。
厳密に言えば、もう少し前から最初の波はあったんですが、本格的に火がついたのはその頃じゃないかと。
それ以来、有象無象のキュレーションメディアが立ち上がりました。
キュレーションメディアは横のPVの奪い合いこそあれ、基本的には検索流入によるPVがほとんどなわけですから、検索されそうな文字列をちりばめた記事をいかに増やすかっていうのがポイントなわけです。言ってみればテクニックもへったくれもないSEO対決です。
それぞれのサイトは飛躍的に記事を増やすためにキュレーターと呼ばれるWEBライター?のような人をそれぞれ囲い込んだり、投稿IFをオープンにしたり、まとめてくれた人に報酬を支払ったりして記事数を競っています。中にはクラウドソーシングを利用して記事を増やしている企業もあると聞きます。
昨今の「スタートアップブーム」において、様々なサービスが生まれては消える中、キュレーションっていうのは、起業アイデアとしては一番楽なんですよね。
正味な話、トラフィックをしっかり捌けるサーバーと少々のWEBデザイン力、そして最初の二ヶ月に集中投下できる資本さえあれば誰でもそこそこのサイトは作れます。あとは、他とちょっとだけ棲み分けるポジショニングをすればいい。
ただ、PVはそれで集まり、一定の収入も確保できるかもしれませんが、何かサイトや事業そのものに価値を生むことができるかというとそれはまた別の話なわけです。
先に私の立場をはっきりさせておくと、キュレーションに否定的なわけではありません。
検索という情報アクセス手法をより効率的にするコンテンツになっていれば一定の存在価値はあると思います。
しかし、それが事業として価値のあることかといえば、少し疑問という立場です。
一番引っかかっているのは、現在の粗製乱造状態が本当に良いのかということです。
キュレーションサイトは1日に多いサイトで数十記事を投下しますが、本当にそのサイトにまた来たいと思わせるだけの質の高い情報がどれだけあるでしょうか?
その多くは、検索を意識したタイトルとテキストで、実際の中身はほとんど引用に次ぐ引用と、キュレーターを名乗るライター?の主観的な感想で占められているというのが私の感想です。つまり、自ら何かの価値を生み出すのではなく、誰かが一生懸命生み出した何かの一節を拝借し、感想を述べているにすぎない記事が多いのではないかと。
数とSEOで勝負できるという市場の特性から、手っ取り早く儲けるなら誰かの何かを拝借し、質より量を投下するのが勝ちパターンな訳です。
そうなると、そもそも本来の存在価値は「ネットの水先案内人」として、「まとめることで検索以上の価値を生む」というところだったはずなのに、今やこの果てしない引用と粗製乱造によるPV集めの過程を経て、逆に検索結果を汚しているんではないかと。
そんなPV集めみたいな事業に億単位の金を出すベンチャーキャピタルの気が知れないなと思うわけですが、ある意味PV=金ならば、彼らからすれば仕入れて売るというベルトコンベア的な「機関」みたいな感覚なんですかね。
検索エンジン側も引用サイトはランクを下げるなどの対策をしているようですが、もっと抜本的に膨大な数だけを投下するキュレーションメディアは検索結果に出さないとかそのくらいのことはしてもいいんじゃないでしょうかね。
だって、検索以上の価値を出すのがキュレーションメディアなんだから、検索に頼るのはおかしいでしょ?
そんなこんな。
キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)
- 作者: 佐々木俊尚
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2011/02/09
- メディア: 新書
- 購入: 57人 クリック: 2,260回
- この商品を含むブログ (200件) を見る