[映画レビュー]妻夫木聡主演「ジャッジ!」☆3.0…良くも悪くも教科書通りの笑い
妻夫木聡主演の映画「ジャッジ!」を見てきましたよ。
新宿ピカデリーで見てきたんですが、「黒執事」の初日挨拶で水嶋ヒロが出てきたとか、号泣したとかなんとかで、異様な混み具合でしたわ。まあ、私は水嶋ヒロにも剛力彩芽にも興味はないので、twitterを見てて評判が良さそうだった妻夫木聡主演の「ジャッジ!」にしました。
以下、なるべくネタバレは少なめに、雰囲気が伝わる感じでレビューを。
「ジャッジ!」のレビュー
■レビュー点数:☆3.0
まあまあオススメです。こういうテイストの映画が好きな人なら楽しめると思います。
<「ジャッジ!」のあらすじ>
無茶と書いて、チャンスと読む!
大手広告代理店の落ちこぼれCMプランナー太田喜一郎(妻夫木聡)は、上司のカリスマクリエイター・大滝一郎(豊川悦司)に日々いいように使われ、失敗の尻拭いをさせられるという、うだつの上がらない日々を送っている。
ある日、クライアントである大手ちくわ会社から、同社の超つまらないCMに世界的な賞レース「サンタモニカ広告祭」で賞を取らせられなければ契約打ち切りでクビ!という無茶ぶりが。そのミッションを本来担当する予定だった大滝一郎は、自身の保身のため、ひらがなにすると同じ名前だということで太田喜一郎に替え玉出席を押し付ける。
突然の無茶ぶりで審査員としてサンタモニカ広告祭に向かうことになり、困り果てた喜一郎。藁をもすがる思いで、かつての名CMプランナーで過去に審査員の経験があり、今はリストラ部屋の住人の鏡さん(リリー・フランキー)に必勝法の教えを請う。その鏡から、夜ごと開催されるパーティーに同伴者がいなければゲイ扱いされるぞと脅され、同じ職場の、美人で優秀だがギャンブル中毒という曲者美女・大田ひかり(北川景子)を妻として一緒に行くことに。
さまざまな国から集結したクリエイターたちが、自分の会社のCMをグランプリにしようと裏工作に奔走する中、喜一郎はちくわのCMに賞を取らせることができるのか!それとも自分の広告愛を貫けるのか!果たしてひかりとの関係は!?
<「ジャッジ!」の感想>
本当に王道のコメディです。難しいことは何も考えずにリラックスして楽しめる作品ですね。映画館でも笑い声が絶えないような楽しい作品になっていました。
キャスティングは、名前だけ見ればもう超豪華です。
妻夫木聡、北川景子、豊川悦司、鈴木京香、リリー・フランキー、風間杜夫、加瀬亮、竹中直人、玉山鉄二などなど「名前だけ見れば」枚挙に遑がないがないレベルです。
しかし、基本的には設定を「海外」ということにしているので、後半に挙げた有名キャストはほとんどカメオ出演で、基本的なストーリーは荒川良々とチャド・マレーンそして、稲川素子事務所の外国人タレントたちで進行していきます。
有名タレントの名前は借りながらギャラはほとんど発生させないという、非常に費用対効果の高いキャスティングといえるでしょう。
完全に教科書通りのストーリー展開
さてさて、ストーリーですが、笑って楽しむエンターテイメントとしては非常に良い出来です。しかし、良くも悪くも教科書通りという印象でもあります。お客さんが予想し、期待するストーリー展開から一切ブレないその展開はある意味お見事です。
信念だけは人一倍のダメ社員が、ろくでなしの上司に明らかに不可能なミッションを与えられ奮闘するとか、倉庫番のおじさんが実は昔すごい人で、一見言っていることはめちゃくちゃだが、最終的にそれが役に立っちゃうとか、当初は嫌っていたヒロインとひょんなことから一つ屋根の下で過ごすことになり、そのうちになんか恋愛感情が生まれてくるとか、ライバル会社の嫌みな女がふとした拍子に弱みを見せ、それを助けたことをきっかけに大事な味方になるとか、自分たちのことしか考えていなかった金の亡者が主人公の思いに打たれて正しい行動を取るとか・・・。
どこかで見かけた設定と展開を完璧に組み合わせて、よく言えば「安心感」を生み出していましたが、悪く言えば「既視感」のある作品とも言えます。
奇をてらったところと言えば、ヒロインの北川景子がギャンブル中毒という設定くらいでしょう
全体的に漂うコントっぽさと制作側の意図
テーマとしている広告祭の現場が本当にこんな感じなのかは分かりませんし、あくまでフィクションなんで細かいことは言いっこなしですが、いわゆる弱っちい主人公の信念が権力を動かすというインパクトのために全体的にコント色を強めている印象ですね。
ただ、妻夫木聡と北川景子の恋愛ネタへの展開は正直ムリがある感じがありました。短時間で描くにはちょっと強引というか、なんとか恋愛ネタを混ぜ込みたいという制作側の意図が見え隠れするシーンがあり一瞬引いてしまった瞬間がありましたね。
本作は監督のステップアップにつながるのか?
少し辛口に言えば、本作の監督はグリコアーモンドピークなどの話題作を数々生み出している注目のクリエイター永井聡、脚本はソフトバンクの「ホワイト家族」シリーズなどを手がける澤本嘉光、他にも蒼々たるトップクリエイターが参加した作品の割には、工夫がないというか、よくもここまで王道を王道のまま走りきったなという感じ。
同じ広告出身の監督では、私は石井克人監督が大好きなのですが、彼の場合、確かに商業的な作品ではありませんが、かなりアバンギャルドな作品を多数生み出しており、根強い固定ファンがついています。
永井聡監督の場合、非常に独自色の少ない作風で、いわゆる雇われ監督といった雰囲気ですので、この作品で映画監督としての手腕が評価されることはないのかなと。
サカナクションの音楽は見事だが転機が訪れつつある
サカナクションの音楽は映画の雰囲気と合っていていい感じでした!
サカナクション - アイデンティティ(MUSIC VIDEO) - YouTube
でも、最近のサカナクションには、ちょっと前のアジアン・カンフー・ジェネレーションみたいな、なんというか「流行モノ感」が出てきている気がするんですよね。かつてのアジカン好きやRADWIMPS好きみたいな新しいもの好きが、次なるマイブームとしてサカナクションを追いかけてるんじゃないかなという感覚。
ドラマやCMとのタイアップで注目を高め、一躍人気アーティストの一人となったサカナクションですが、こういう人気の場合、タイアップが無くなると急速に人気もしぼんでしまうものです。もう少し足場を固めた活動をしていかないと、せっかくの素晴らしい才能が小さくまとまってしまうのではないかと少し心配です。
<総評>
色々言いましたが、総じて非常に良くできたエンタメ作品です。
設定はいろいろメチャクチャですが、何も難しいことを考えずに気楽に楽しむならこれ以上の映画はないでしょう。映画館でストレスを解消したい方にオススメです!
それにしても最近の妻夫木君は情けない後輩キャラが多いような気がしますね。